やるしかあんめぇ 雨読

text & photo by T



201103111446
東北地方太平洋沖地震




小名浜港からほんの100メートルほどの場所、
4月1日からUDOKの部室となるはずだった倉庫にも、津波が押し寄せた。
まだ誰もいない倉庫に、濁流や瓦礫とともに3台の車が突っ込んだことを、震災直後に知人から聞いていた。




その後、長いこと小名浜の海へ近づけなかった。
情けないことに、自分の目でみる勇気がなかった。


3週間後の4月2日、やっと、海辺へと足を運んだ。
毎日のように散歩していた小名浜の海辺が、初日の出を見た2号埠頭が、
アクアマリンふくしまが、散歩しながら写真を撮った小名浜魚市場が、
朝ご飯を食べたあさひや食堂が、小名浜を代表する魚屋さすいちが、友人の家やお店が、、、


3週間が経ち、瓦礫もだいぶ片付けられていた、
それでも、心は揺さぶられた。
ところどころで早朝から片付けをする人たち。


その人たちに失礼だと思い、溢れそうになる涙をこらえ、
「まけてらんに。よし、泣くなよ。」と弱い心にチカラをこめた。
いつも持ち歩くカメラを持っていたけど、どうしても撮れなかった。
何をどう撮っていいか分からなかった。



そして、倉庫へと向かった。
「あぁ、建ってる。」
思わず安堵の声が洩れた。


ここだけはきちんと記録しておかなくては。
何枚か写真を撮った。



突き刺さった車は1台に減っていた。
入り口のドアは剥ぎ取られ、壁に穴が空き、腐った柱がもぎ取られていた。
モルタルの床は泥やいろんな物が散乱していた。





不思議と、少しずつ気持ちが落ち着いてくると、
「きっと大丈夫だ。これならまだ大丈夫。」
奮い立つ気持が湧いた。


建物はしっかり建っている。2階部分もしっかりと。
修理する部分は多い、泥の掃除も大変だろう、
でも、UDOKの心は折れずにいけそうだ。


もともとボロボロの場所だ。
手間が少し増えるだけ。
そこから始めればいい、目指す場所は同じ。



「まけてらんに。やるしかあんめぇ。」
浜の男のことばが反芻する。



小名浜の海辺の復興とともに、UODKの種が芽吹き、大きく育っていってくことを願う。



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