design UDOK

design by T / text by R



これは、実際の建物のスケールを落とし込んだUDOKのイメージ。
あくまでざっくりイメージなので、これがすべてではありませんが、
おおまかなアウトラインを語るには充分だと思い、掲載してみました。




ドアを開けると、そこには3つのセクションが広がっている。
まず中心部。ここでは2ブロックを使い、
展示やイベントを企画できるスペースを設ける。


いわきや小名浜を語られる時に使われる「潮目」という言葉を借りれば、
このスペースは世界と小名浜の潮目であり、
僕たちと小名浜の人たちとの潮目でもあり、
世代間の潮目でもあり、作る側と見る側の潮目でもある。


黒潮親潮が混じりあい、やがて2つの海流に戻っていくように、
人、モノ、ストーリーがからまり、そしてほぐれていく場所。
誰かと誰かの手と手が結びつき、新しい何かが生まれていく場所。


実際の潮目とは、さまざまな生態系が複雑に存在し、
またそのおかげで「豊穣」な漁場となる場所として知られる。
UDOKのイメージも、まさにそういう場所だ。




これは、さきほどのイメージを反対側から見たもの。


中心部から見て左端に、「知の生産基地」としてのアトリエをこしらえようと考えている。
白い壁に向かいあい、いろいろなものを空想する。
面積は狭いけれども、心地よい「こじんまり感」を感じつつ、
さまざまなものを創出していくクリエイティブなスペース。
つまり、ここは、UDOKの中での「晴耕」の部分と言えるかもしれない。


反対側の右奥には、「知の集積基地」としての書庫をこしらえる。
壁伝いに本棚を置き、誰もがその知識や情報を共有できる。
晴耕のための蓄えとしての「雨読」を深めていけるスペースだ。
つまり、UDOKの中でのさらなる「雨読」を深めていくようなイメージ。




UDOKというスペースは、
昼間の仕事「晴耕」に対する、放課後の部活動「雨読」というコンセプトから出発している。
UDOKというスペースは、そもそもが「雨読をする場所」なのだ。


ただ、今見てきたように、
UDOKの中にも「晴耕」の部分と「雨読」の部分があり、
それが複雑に絡み合い、そしてほぐしを生んでいる。


つまり、「晴耕雨読」というのは本来ワンセットになっていて、
その時々で「晴耕」のフェイズと「雨読」のフェイスが入れ替わるだけで、
2つに切り分けることなどできない、ということかもしれない。


仕事が終わった後の、単なるストレス発散基地としてではなく、
本業と部活動が有機的に結びついていけるようなヒントを生み出せなければ意味がない。
ワークライフバランスとはいうけれど、ワークとライフを分断させることなく、
その両方を含んだ「小名浜で生活することを純粋に楽しむ」という、
まさにそのことを、UDOKが伝えていければ。


僕たちは今まさに、「小名浜で生活すること」を楽しんでいる。
だから、そんな楽しみから生まれるUDOKも、楽しくないわけがない。
そんな自信を深めた、土曜日の雨読なのでした。


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